ナゴヤファッションコンテスト過去受賞者へのインタビューVol.8
「ナゴヤファッションコンテスト2011」奨励賞受賞 寺村幸子さん
女性の持つキラキラとその裏に潜むドロドロに魅力を感じ、それらを同時に感じさせることのできるような立体造形物を制作されている寺村幸子さんにお話しを伺いました。
右の写真は「名古屋ボストン美術館」で展示した、多摩美術大学在学中に制作された「ナゴヤファッションコンテスト2011」奨励賞受賞作品です。
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現在のお仕事を教えてください。
群馬県桐生市の染色整理加工会社に勤務しながら、絞り染め、型染めの技法を用いた立体造形物の制作を行っています。主に個展や合同展、イベントへの出品に向けて作品を制作し、販売しています。
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テキスタイルを学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
ファッションが小さなときから好きでファッションを学ぶ大学に入学しました。勉強をする中でテキスタイルに対する関心が強くなり、テキスタイルを専門に学ぶことができる多摩美術大学に入りなおしました。その授業で「絞り」の技法に出会い、現在の制作につながっています。
テキスタイルは糸の種類や織り方でいろいろな見え方に変わり、様々なテクスチャーを作り出すことができる点に魅力があると思っています。
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ナゴヤファッションコンテストに参加した感想を教えてください。
ナゴヤファッションコンテストでは、本格的なファッションのコンテストで、自分の「着ることができるアート」という位置づけの作品が通用するのかどうかチャレンジすることができました。
作品を作っているときは、思っているように色が出ず、苦労しましたが、奨励賞という評価をいただき、その後の着られる作品の制作にもつながっています。また、コンテスト終了後の美術館で素敵に展示をしてもらえた点がよかったと思います。
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卒業後、「現在」に至るまでの経過を教えてください。
大学を卒業後、拠点を桐生に移しました。大学で勉強をしている際には、将来の進路について迷っていましたが、「ジャパンテキスタイルコンテスト」でスプラウト賞をいただき、その際に新井淳一氏(テキスタイル・クリエイター)から頂いた「いまのような作品を作り続ければいいのではないか」という応援が、現在の制作を続けるきっかけになりました。
桐生はシルクの産地だけあって、いろいろな人との出会いがあり、作品制作にも大きな影響がありました。例えば、知人のアドバイスでアクセサリーを作り始め、今までにはなかった明るい色味のものも作るようになりました。大きな作品にもいい影響が現れています。この秋冬からはシーズンも考えて作品を展開しています。
また最近は、個展を年に何度もひらくことができるようになってきました。これは、イベントや合同展で出会った、画廊などの関係者の方から声をかけていただけることで開催できています。個展では、アート作品に加えて、アートと対になるようなアクセサリーを制作し、展示・販売しています。大きな作品は購入しにくいという方にも、アクセサリーなどを通して気軽にアートに触れていただくことができればと思っています。
■ 今後の目標を教えてください。
35歳までには作家として生きていけるようにしたいと思っています。
作品としては、部屋全体を覆うことができるようなものを作ってみたいです。また、制作にあたっては、中途半端なものではなく、真面目にいいものを作ることを心がけていきたいと思います。
■ 若手のクリエーターに対するメッセージをお願いします。
振り返ると、学生の頃はとても視野が狭かったので、学生の方などは多角的に物を見ることや、一歩離れて物を見ることを意識するといいのではないでしょうか。
また、産地などのモノづくりの現場に積極的に行くといいと思います。産地は非常に刺激を受けることができると思います。その時には得るものがないと感じても、後から役に立つことが必ずあると思います。私自身は桐生を拠点にする前に、インターネットなどでいろいろと調べましたが、実際の桐生にはインターネットで調べられたことの何十倍もの情報がありました。実際に行ってみないと分からないことは多いと思うので、是非、現場を直接見てください。
寺村幸子さんのプロフィールはこちらをご覧ください。