【会員紹介】創業百年の歴史、今もベンチャースピリッツは健在
-斬新な宣伝力と売り出しで、呉服から洋装・アパレルまで幅広く扱う総合繊維商社"丹羽幸"-
■はじめに
今年、築城から400年を迎える名古屋は、江戸時代から本町通りに店を構えることが、名古屋商人としての一種の証し"ステータス"であった。
丹羽幸4代目 小玉社長
創業以来百年を迎え、総合繊維商社として隆盛をきわめることができたのは、そのルーツとも言える、先代の持っているパイオニア精神そのものが、今も綿々と受け継がれているからである。
今回、先代達の長者町の商人として数々の象徴的なエピソードを、小玉社長にお伺いすることができた。
■洋傘卸から転換、売り出しに奇抜なアイデア
祖業は、洋傘卸であったが、大正初期に突然反物卸商へと業態を転換した。又、当時、商売形態は掛売りが当たり前だった時代に現金商法の先駆けとして、「良い商品を安く仕入れ、安価で提供する」ことに徹し、いち早くカタログ通販を始めている。
一目につく大規模な宣伝と企画で客を呼び込み、"売り出しの丹羽幸"と評され、こうした奇抜なアイデアは、時代の最先端を走っていた。
呉服に本格的に挑んだのは、昭和30年代に入ってから。当時、呉服は最大の戦力商品であったが、有力問屋が市場を席巻していた。特に、京呉服は参入が難しかったが、辛抱強い営業力で京呉服の扱いを始めることとなり、いつの間にか老舗の呉服屋と言われるようになった。
「一番良いものを安く売る」現金商法で培ってきた顧客目線の長い伝統が、今も、丹羽幸の経営理念として息づいている。
■まだ誰もやっていないことに、果敢に挑戦
-粋な演出-帯と鼻緒をセットにした"浴衣セット"
新しいことへの取り組み事例として、「浴衣セット」がある。
今では、スーパーなど量販店の衣料品売り場で見られる「浴衣セット」は、丹羽幸が初めて開発したセット商品で、呉服業界の常識を覆す大ヒット商品となった。
従来、浴衣(ゆかた)は呉服屋さんの夏のサイドビジネスで、単品として作られていた。これを、帯と下駄をセットにし「浴衣セット」として売り出したら爆発的な人気になり、逆に全国の呉服屋さんからブーイングが出る始末。
当時は、広く企業のブランド・名前を知ってもらうことが、消費者にとって安心・安全に繋がる。決してドンドン新しいことをやることが良いとは限らないが、まだ誰もやっていないことに、果敢に挑戦することが、時代の変化を先取りした柔軟性・先見性があったともいえる。
■おわりに
「バブル崩壊後、繊維産業も大変厳しい経済環境ではあるが、繊維は生活密着型産業であり未来提案産業である。」さらに、「伝統は受け継ぐのではなく勝ち取るものである。」と小玉社長。
個性的なファッションライフを提案!
「時代、社会が複雑・高速になった分、
DREAMING(夢のある生活を)、
LOVING(暖かい真心を送る)、
GROWING(仕事を通して成長を)、
SEEING(時代を察知する)
の4つのキーワードを大切にしながら、地域社会に貢献できるよう、これからも社員一丸となって先代の残した足跡をさらに飛躍させていきたい。」と意気込んでいる。
【丹羽幸株式会社ホームページ】
http://www.niwako.jp/